2021-05-01 21:27
踊ったりストレッチを教えたり指圧をしたり日本語を教えたりする私は基本的に物を持たない。
私はかたちあるものをつくりださず、Shirokaneさんはかたちのあるものを生み出すことができる。
物は自分の思うように扱うまでに鍛錬がいる。そして使っていればあれが壊れここが欠けとしょっちゅうメンテナンスしたり、それを補うための試行錯誤の時間、技術の習得が必要になる。
肉体的な苦痛も伴いながら格闘する姿を、隣で見ている。
実際に手や腕や腰を痛めるのもそうだけれど、部品を買うためにあちこちに問い合わせたり届かなかったりメールは行き違い/読まれないことだらけで精神的苦痛が伴い、なんでもないことに半日、一日を費やす。
今日もブローチを作るための機械が、さんざんなだめすかして使っていた機械が、どうにもこうにもいかなくなってしまった。
3日くらい格闘していたがさすがに疲れ果てたようで、じゃぼんとベッドに沈んでいった。
私もそのかたわらで本でも読もうかなと、何千回も犯したあやまちを忘れて、潜り込んで、そして2行も読まないうちに眠ってしまう。
本を、ベッドで、読むべからず。
読めないから。
読もう、と思った次のまばたきで私は眠ってしまう。のび太くんなみの寝付きの良さなのだ。
目覚めたら部屋の中は深海みたいに青く沈んで、冷蔵庫のぶうんといううなりや壁の向こうの循環器系の音だけが聞こえる。
じぶんまで青く染まってさみしいような気持ちになる。
窓は、この大きな深海魚の目だ。
飲まれた私は、ひえびえとしたおなかから、お向かいのオレンジ色の光を見ている。
カーテンをひいて電気をつけておなかから出るのもいいけれど、このまま今日はろうそくを灯して閉じこもるのもいいな。
世界から忘れられた場所にいるみたいに。
お風呂でもわかしてあげて、パスタを茹でてあげたり、ぐっぐっと全身のツボを押してあげたりしよう。
明日からもつくれるように。